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バイク用製品

エアバッグシステム

エアバッグシステム

試験施設


財団法人日本自動車研究所(JARI)
1969年に試験機関として発足。
国土交通省・警視庁などの公的機関や自動車関連メーカー、一般企業に至るまで様々な技術相談や共同研究などの試験、研究の委託を行なっており世界的にも信頼された試験研究機関です。


試験概要


本試験は、二輪車ライダーのために開発されたエアバッグジャケットの性能を検証するために実施したものである。
評価項目は、エアバッグジャケットが有する衝撃に対する保護性能の確認である。なお、衝撃保護性能の評価部位は頸部であり、人が受ける衝撃を計測できる人体模型(Hybrid-IIIダミー:身長175cm・体重78kg)にエアバッグジャケットを着用させ、質量23kgの衝撃子(インパクタ)で衝撃を加える方式とした。


頚部打擊試験結果


試験ではインパクタの目標衝突速度を5.6m/s (20km/h)とした。インパクタの衝突位置は、インパクタの衝突面の上端がヘルメット後方下端に接触しない高さ位置とし、左右方向はダミーの縦方向の中心がインパクタの中心と一致させた。また、エアバッグは完全に展開した状態で実施した。

頚部打撃試験



表1頚部打撃試験の結果


プロテクターの種類 衝撃速度(m/s) 頚部せん断荷重(N) 頚部引張荷重(N) 頚部前屈トルク(Nm)
POLICE 5.6 -1490 1758 87
FRANCE 5.6 -961 2200 49
NW 5.6 -1034 1582 58
Race Model
5.6 -1064 2474 59
MC2 5.6 -1243 2234 72
MLV 5.6 -935 3041 59

表1に頭部打撃試験の結果を示す。試験条件として、表1に試験結果の概要を示す。
ここでは本試験で得られた結果を米国法規であるFMVSS 208(衝突時の乗員保護)に定められた傷害値で評価することとした。FMVSS208に示された頚部の傷害値は、前後方向のせん断荷重が3,100 N、上下方向への引張り荷重が4,170 N、前屈トルクが190 Nm である。
本試験結果をみると、傷害値を十分にクリアしている状況であったことがわかる。


図A せん断荷重に対する保護基準

図B 引張荷重に対する保護基準


法規における傷害値は、最大値で判断するものであるが、それに加えて荷重が発生している持続時間を指標にした。
評価手法も提案されている。図Aに頚部のせん断力に対する保護基準を示し、図Bに引張力に対する保護基準を示す。同図から本試験の結果をプロットすると、せん断および引張力ともに、重症となる可能性が小さいゾーンに収まっていることがわかる。これらの結果から本試験と同等の衝撃(質量23kgの物体が20km/hで衝突する)をライダーが受けた場合、エアバッグジャケットを着用することで重症以下の傷害へ低減できるものと推察される。